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SPECIAL ARCHIVES SAMURAI EDGE Barry Burton MODELVer.Ⅱ バリー・バートンモデルVer.Ⅱ発売記念

バリーの変化をコンペンセイターで表現

僕は僕なりに自問自答しながら、「ファンの方が“バリー・バートンのサムライエッジ”と聞いて思い浮かべるイメージからなるべく逸脱しない」ように、「前作のグレードUP版」という方向で考えていました。

グレードUP版とはいうものの、イメージを大切にしつつも何かをガラリと変えなければ「Version II」を出す意味がないと思います。
サムライエッジ バリー・バートンモデル」の仕様の中で、一番インパクトがあるのは「コンペンセイター」でしょう。S.T.A.R.S.時代のバリーが「パワー信奉者」だということを最も具現化しているのもこのパーツです。
それならばコンペンセイターのデザインを変えれば、バリーらしさを保ちながら「進化」を表現できるのではないでしょうか。

コンペンセイターとは?

銃口付近に装着する穴の空いたパーツのこと。この「穴(ポート)」は発射時に発生するガスをわざと噴き出させるためのもので、どの位置にどんな穴が空いているかで効果が変わってくる。

コンペンセイター上部にポートがあるタイプは、上方向に噴き出したガスの噴射力で銃口を下方向に押さえつけるため、マズルジャンプ(銃口の跳ね上がり)を軽減することができる。
ハンドガンのコンペンセイターとしてメジャーなスタイルだ。
コンペンセイターの側面にポートがあり、ガスを左右に噴き出すタイプ。ガスがポートから噴き出す際に前方の壁に当たることで、銃全体が前に引っ張られる形となり、スライドが後退する反動を相殺・軽減することができる。
戦車の主砲や大砲ではこの形状を採用することが多い。

そう思い至った要因は、バリーが次の主人公だと聞いた時に「だいぶ年季が入っているだろう」と感じたからです。バイオハザードは新作タイトルが出る度に歴史が進み、キャラクターも年をとっていきます。(多少時系列が前後することはありますが)
だとしたら洋館事件では38才だったバリーも、今度の新作タイトルではかなり初老に近づいているのではないかと。38才のバリーは「重火器でも扱えるほどの強靭な肉体」をもつ屈強な男でしたが、年令を重ねるうちに衰える部分も出てくるんじゃないかと。それはきっと、彼の「戦い方」にも少なからず変化をもたらすでしょう。その変化を「コンペンセイター」の変化で表現できるのでは?と思ったわけです。

S.T.A.R.S.時代のバリーは、パワーのある銃の反動を「4ポーテッド・コンペンセイター」と銃の重量で相殺し、精度面を少し犠牲にする形で撃ちやすくしていました。しかし、今度の新作タイトルでバリーが年を重ねていれば、違う望みがあるんじゃないか、あまり重い銃じゃない方がいいんじゃないか…等と考えてみました。年を重ねると食生活や好み、考え方なんかも変わってきます。なんせ、実際にオジサンになった僕がそうですから(笑)

ただ、このバリー像は僕の勝手な考えで、新作(バイオハザード リベレーションズ2)における公式の「バリー像」について、当時はまだカプコンさんから情報をいただいていませんでした。
リベレーションズ2におけるバリーの年齢や身体的特徴、彼の主人公としての目的がわからないだけでなく、「キャラクターが年をとり、衰えを垣間見せる」というのがバイオハザード的にアリなのか、そういった不安もありました。クリスも、ジルも、レオンも、シリーズを重ねる度に強く成長していましたから、バリーだって相変わらずパワフルなままかもしれません。
この点についてはカプコンさんと詰める必要がありますが、万が一OKが出なかった場合でも「実銃の機能として十分説明のつくデザイン」を担当A・Bとともに心がけるようにしました。(結果的にはカプコンさんの思惑とも一致していたわけですが、それは後ほど。)

アイデアその1:広報課 島村案

僕は「コンペンセイターのデザインと機能をガラリと変えて、軽量化する」方向で試作作りを始めました。
ぼんやりと「コンペンセイターの厚みを増して、スライドと一体型にしたい」という思いがあったので、作業しながら具体的に形を起こしていきます。

東京マルイ 広報課 島村

バイオハザードとの様々なコラボレーションモデルに携わり、時には自らフルスクラッチで試作品を作ることも。お気に入りのコラボモデルは、サムライエッジのアルバート・ウェスカーモデル(未発売)。

  • アイデアその1:広報課 島村案
  • アイデアその1:広報課 島村案
  • アイデアその1:広報課 島村案
  • アイデアその1:広報課 島村案

ハンドガンサイズのものだと、ほんの数ミリ厚さが増えるだけで見た目にかなり迫力がでてきます。
しかし、厚みが増せば重量も増します。スチール等の重い素材を採用している実銃ならば尚更です。38才のバリーならその程度ものともせず使いこなすでしょうが、前述の「年齢」を考慮するなら、重くなりすぎない配慮が必要です。
そのため、コンペンセイターの下にあるスタビライザーという錘(おもり)に肉抜きの窪みを設けました。

また、スタビライザーにはフラッシュライト等のオプションパーツを取り付ける「アンダーレイル」がありますが、このアンダーレイルを「ピカティニー規格」にしてみました。
ピカティニー規格というのはレイルの仕様のことで、前作のバリー・バートンモデルよりもスリットの間隔が細かくなります。今の時代はピカティニー規格のレイルが主流となっているため、このスリットの間隔が広いと取り付けられないオプションパーツがあるのです。
コンペンセイターの厚み、スタビライザーの肉抜き、アンダーレイルのピカティニー規格化により、銃口まわりの印象が近代的になりました。

グリップには「フィンガーチャンネル」を設けました。自分に合ったフィンガーチャンネルがあると、グリップを握った時に指の収まりが良く、発射の反動で銃が暴れてもしっかりとグリップを握っていることができます。リボルバーでもよく見られるグリップ形状なので、「マグナム」も愛用するバリーの好みにも合うかと思いました。

限定品だからといって、予算がふんだんにかけられるワケではありません。逆に東京マルイの限定品は生産が1回限りなので、下手にカスタムすると製品価格に響いてしまいます。
そのあたりのバランスを考慮しつつ、しかし新しさや変化を見せなければならないのが辛いところですね。