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SPECIAL ARCHIVES SAMURAI EDGE Barry Burton MODELVer.Ⅱ バリー・バートンモデルVer.Ⅱ発売記念

サムライエッジ バリー・バートンモデル Ver.II 誕生秘話

それから2週間後、バリーはロンドンの空の下にいた。

BSAA欧州本部にて若手隊員の指導にあたると言うのが名目ではあるが、その実はクエントの要請によるものだった。

「今のあなたのためのサムライエッジを作るんです。今のあなたを知らなければ、作れるわけがない。ああ、ご心配は無用。少し手を回しておきましてね、指導教官として欧州本部への派遣を要請しておきました。え? そんなことできるのかですって? 見くびらないでいただきたいですね。こう見えても私は技術開発部部長代理補佐です。この肩書をちらつかせれば、結構言うことを聞いてくれる人がいるんです」

嬉々として説明するクエントに、素直に従うことにしたのだ。
バリーは、昼間は少しだけ若手の指導に顔を出し、それ以外の時間は、ほとんどクエントの研究室で過ごした。
身長体重、体の各所の採寸、体力、筋力、視力などの測定に始まり、基本的なデータの採取が終わった後は、ひたすら激論の日々だった。
バリーの銃に対する確固たる思想と、クエントの技術と知識、採取されたデータに裏付けされた最適解には、最初は大きな隔たりがあった。
傍から見れば、大喧嘩しているようにも思えただろう。
事実、研究室から漏れる怒声に、多くの技術開発部員が首をすくめていた。

Bioterrorism Security Assessment Alliance 対バイオテロ部隊BSAA

アンブレラ崩壊後、製薬企業連盟が資金を拠出して設立した対バイオテロ部隊。バイオテロの脅威が強まったことで、国連管轄の実働特殊部隊として再編された。
欧州本部の他、世界各所に7つの支部がある。

そんな中であったが、クエントが素直に聞き入れたものがあった。
それは、ベース銃をバリーが持ち込んだ「M9」にすることであった。

「これは、ジョウ・ケンドがバースデープレゼントとして、俺にくれたものだ。特別なカスタマイズはされていない。だが、彼が細部まで調整を施してくれている最高のM9だ。これこそ、新しいサムライエッジにふさわしい」

その言葉に、クエントも異論はなかった。

激論の日々は、あっという間に過ぎ去っていった。

議論を重ね、試作の山に埋もれながら、試射を繰り返し、二人の間の溝は徐々に埋められていった。

M9 9mm Service Pistol M9 9ミリサービスピストル

イタリアに本拠をもつ銃器メーカー ピエトロ・ベレッタ社が開発したM92シリーズは、1985年に「M9 9mm Service Pistol」の名でアメリカ軍制式採用が決定した。
そのことで民間市場でも一躍メジャーとなったM9(M92FS)は、スライド破損時の安全性を高める改修を施し、現在に至る。
S.T.A.R.S.隊員に支給されたサムライエッジのベースである「M92F」と、クエントがバリーのために新たに手がけるサムライエッジのベース「M9」との違いは、それが欧州市場向けかアメリカ市場向けかによる刻印の違いが主であり、仕様・性能面ではどちらも同等のクオリティだ。
なお、クエントからジルに送られた「サムライエッジA1」は、「M9」をよりモダナイズした改良版「M9A1」がベースとなっている。