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SPECIAL ARCHIVES SAMURAI EDGE Barry Burton MODELVer.Ⅱ バリー・バートンモデルVer.Ⅱ発売記念

サムライエッジ バリー・バートンモデル Ver.II 誕生秘話

「俺のための、新しいサムライエッジを作ってくれ」

聞けば、長年愛用していたオリジナルのサムライエッジを、バイオテロとの戦いにおいて破損してしまったのだという。
送られてきたサムライエッジの写真は無残なものであった。
特徴的なブリガーディアスライドには亀裂が入り、コンペンセイターは溶けて泡立ち、ハイブリットカスタムグリップは破損しマガジンがあらわになっていた。
オリジナルのサムライエッジでさえこのようになってしまうとは、どのような状況に陥ってしまったのか、それは技術者であるクエントの想像を絶するものだったのであろう。

SAMURAI EDGE BURRY BURTON MODEL サムライエッジバリー・バートンモデル

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かの洋館事件前、バリーがS.T.A.R.S.隊員の頃に、ガンスミス ジョウ・ケンドの手によってバリーのためにカスタムされたサムライエッジ。
S.T.A.R.S.隊員へと支給品されるサムライエッジが9mm口径であることに威力不足を感じていたバリーは、親友であるジョウ・ケンドにカスタムを依頼。そうして出来上がったバリー専用のサムライエッジは、.40SW弾を使用する「M96F」をベースにし、人並みはずれた腕力を誇るバリーならではの思い切ったデザインに仕上がっている。

だが、自信はあった。
サムライエッジ自体は研究しつくしていたし、サムライエッジA1を制作したという実績もある。
自身の技術も、当時から格段に向上している。

バリーのサムライエッジは、ジルのそれと比べ、ベース銃がM96Fとなり使用弾は.40SWに変更、その反動を抑えるために大型のコンペンセイターを装着、減った装弾数を補うためにロングマガジンを使用してはいるが、基本設計は同じだ。

簡単な仕事のはずだった。

意気揚々と制作に取り掛かり、完成したのは依頼を受けた1ヶ月後、それをアメリカに住むバリーへ送ったのが2日前、そしてバリーからの通信を受け、接続と同時に雷鳴を轟かせるハンマーを振りおろしたような怒声を浴びせかけられたのが10分前である。

最初の一撃から渋面を崩さず黙り続けていたバリーだったが、
クエントのかすれた声に反応し、言葉を返した。

「ケッチャム。今、君の眼にはなにが映っている?」

「なにって、それは…」

質問の意図は分からなかったが、クエントは視界に意識を集中させた。

(見るのではない、観察するのだ)

何の映画のセリフだったのかは思い出せない。
はるか昔に観た日本のアニメーションのセリフだったのかもしれないが、それがクエントの技術者としての礎の一つになったことは間違いない。
見たものを分析し、分類し、仮説を立て、結論を導く。
そうやって、クエントは様々な難題をクリアしてきた。
そして、今も一つの結論が導き出された。

「ああ…」

声にならない声が漏れた。
今、モニターに映っているのはバリー・バートンだ。
髪と髭には白いものが混じり、顔には深い皺が刻まれた、歴戦の戦士の顔だ。
だが、戦士としての盛りはすでに過ぎ去り、今や老境に差し掛かろうとしている男の顔でもある。
バリーは、最初に言った。
俺のための、新しいサムライエッジを作ってくれ、と。
それは、「“今の”俺のための」と言う意味だったのだ。
.40SW弾が叩きだすハイパワーを求めているのではない、バリーが求めているのは、今の自分が最高のパフォーマンスを引き出すことができるサムライエッジなのだ。
それを、言葉の上っ面だけをとらえ、簡単な仕事と前のサムライエッジの模倣に甘んじた。
クエントは自ら不明を恥じた。

「ミスターバートン、厚かましいと思われるかもしれませんが、もう一度チャレンジさせてください。今度こそ、今のあなたにふさわしいサムライエッジを作り上げてみせます」

クエントの声に、もはや怯えも迷いもなかった。
そのまっすぐな意気にうたれたバリーは大きくうなずいた。

S.T.A.R.S.時代のバリー・バートン

1996年、毎年増加傾向にある都市型テロ、多様化する犯罪組織、数々の緊急事態などに即時対応できるよう、ラクーン市警に特殊部隊「S.T.A.R.S.」が創設された。
そのメンバーは軍や民間を問わずスカウトで集められたスペシャリストだけで構成されており、当時38才だったバリー・バートンは、隊長のアルバート・ウェスカーをリーダーとする「アルファチーム」に在籍。作戦行動では、最前線で活動を行うPM(ポイントマン)のクリス・レッドフィールドを援護するBUM(バックアップマン)としてコンビを組むことが多かった。

最も戦闘能力が高い者がPMを務めるが、その相方であるBUMにもPMに匹敵する力量が求められる。チーム中最も大柄で重火器を扱えるほど強靭な肉体を持つバリーの戦闘能力も、クリスに並ぶほどであったと推測できる。